開示の専門家として、広く深くキャリアを積み重ねていく

——自己紹介と、現在までのキャリアを教えてください。
大学卒業後の最初のキャリアは監査法人でした。そこで約4年半勤務し、監査という立場からさまざまな企業と関わってきました。その後は事業会社に転職し、経理として7年ほど勤務しました。事業会社では、自分の手で数字を作るという、監査法人とはまた違った立場での経験を積むことができました。
事業会社の経験後は、税理士法人で約4年間勤務し、税務の側面から企業を支える仕事にも携わりました。監査・事業会社・税務という異なる立場を経験した上で、将来的にどのようなキャリアを描くかを考えたときに、「開示に特化した仕事をしてみたい」という思いが芽生えました。
そのタイミングでスカウトをいただき、ディスクロージャー・プロの存在を知りました。開示に特化した会社と聞き興味を持ち、過去の経験をつなげながら次のステップに進めるのではないかと感じたことが、入社の大きな理由でした。
——ディスクロージャー・プロを選んだ決め手を教えてください。
やはり、開示に特化している会社であること、が一番の決め手でした。
監査法人、事業会社、税理士法人と、それぞれの立場で開示に関わる場面はありましたが、組織として開示だけに特化している会社は多くありません。その専門性に魅力を感じたのが最初のきっかけです。
また、これまでの自分の経験を踏まえ、次のキャリアを考えたとき、ここなら自分の経験を活かしながらさらにスキルを磨いていけると感じたのも理由でした。他社と比較検討することもなく、スカウトを受けたタイミングでそのまま応募・入社に至りました。
——監督者として担当されている業務を教えてください。
現在は、開示コンサルタント(監督者)として、主に上場企業やREIT(不動産投資法人)の開示書類作成を支援しています。
クライアント数は、およそ8社ほどで、いずれも決算を迎えるタイミングに合わせて、開示書類の作成やドラフトの準備、クライアントとの打ち合わせなどを行っています。クライアントの規模も業種もさまざまで、それぞれに異なる開示の論点があるため、毎案件で新しい視点が求められます。
開示とひと口に言っても、事業会社とREITでは基づく法律から開示の体系まで大きく異なります。REITの場合は投資法人としての特有の開示規定があり、事業会社の有価証券報告書とはまったく別の考え方が必要になります。そうした違いに合わせて進め方を変えるのも開示業務の特徴です。
——ひとつの案件はどのような流れで進むのか、具体例を教えてください。
基本的には、事前準備、キックオフ、ドラフト準備、決算反映、最終調整、という流れで案件が進んでいきます。たとえば3月決算の一般事業会社を担当する場合、まず、3月の決算前にクライアントとキックオフミーティングを行います。このミーティングでは、前年の開示における論点や当期のトピックス、制度改正のポイントなどを事前に整理し、クライアントとすり合わせを行います。
どこを重点的に確認すべきか、事前にどれだけトピックスを吸い上げられるかによって、決算期のスムーズさが大きく変わります。そのため、キックオフの前に十分な下調べをし、想定される論点を整理しておくことが重要です。
そのために、決算前には開示に影響しそうな「当期の主要トピックス」を把握し、資料にまとめておくことが欠かせません。準備段階での情報収集が、後のドラフト作成の精度につながります。
キックオフで方向性が固まったら、開示書類のドラフトを前倒しで準備しておきます。その後、4月中旬から下旬頃にクライアントの決算が閉まるため、決算数値が確定したタイミングでクライアントから正式な資料を受領し、事前に準備していたドラフトに反映していきます。
——事業会社での開示経験と、現在の業務との違いはありますか?
事業会社にいたとき、外部の相談先は監査法人のみでした。相談相手は限られており、解決が難しい課題にやや閉塞感を感じることもありました。
一方、ディスクロージャー・プロでは、開示に関する疑問点があれば、社内に専門家が多く在籍しているため、内部で相談できる選択肢が増えました。これは非常に心強く、事業会社時代との大きな違いです。
また、事業会社では経理部門の中でも担当範囲が分かれており、自分の業務は決算の一部分でした。しかしディスクロージャー・プロでは、開示書類全体に関わることができるため、会計と直接結びつく部分だけでなく、間接的に関わる領域まで視野が広がりました。
開示書類丸ごと一式に関わるという経験は、事業会社ではなかなか得られないものです。

——仕事を進めるうえで大切にしていること、意識していることはありますか?
もっとも意識していることは、依頼を受けている意味を見失わないことです。
開示書類作成の作業は、極端にいえば事業会社の内部でも可能です。それでも外部の専門会社に依頼するということは、お金を払ってでも相談したい、専門家としての視点がほしいと思っていただいているということです。
特に多いのが、監査法人とのコミュニケーションに悩んだ際の相談です。「こう言われたがどう返せばいいのか?」「監査法人にどう説明すればよいのか?」といった相談に対し、ただ助言するだけでなく、必ず根拠条文や会計基準を添えて、回答方法まで具体的に示すことを心掛けています。
ディスクロージャー・プロに依頼してよかった、と思っていただける価値提供を意識することが、この仕事では特に重要だと感じています。
——これまでの仕事で、印象に残っているエピソードを教えてください。
特定の案件というよりは、新規のお客様を担当することが多いと感じます。私は既存のお客様を引き継ぐのではなく、新しくご依頼をいただいた企業さまを担当することが多いため、最初は双方が手探りの状態で進んでいきます。前例のない状態から関係を構築していく、というプロセスを繰り返すこと自体が、この仕事の特徴だと感じています。
期末業務が終わり、開示書類が無事に提出されたあと、「助かりました」「次回もぜひお願いします」と感謝される瞬間は大きな励みになりますね。
——入社後に身についたスキルや、成長を感じる部分を教えてください。
もっとも成長を感じるのは、REITに関する専門知識が大きく広がったことです。
監査法人時代にREIT案件に触れたことはありましたが、ごく一部だけで、本格的に関わったのはディスクロージャー・プロに入社してからでした。投資法人特有の制度や法律、開示の作り方は事業会社とはまったく異なるため、当初は戸惑う部分もありましたが、上司の丁寧な指導もあり、経験を重ねるごとに理解が深まりました。
また、開示業務は制度改正の影響を受けやすく、頻繁に情報が更新されます。事業会社にいた間は開示のアップデートに触れる機会が限られましたが、ディスクロージャー・プロでは社内でナレッジが体系的に共有されるため、最新情報に常に触れながら業務を進めることができています。
——社内の雰囲気や、一緒に働くメンバーの特徴を教えてください。
社内にはさまざまなバックグラウンドを持つメンバーがおり、それぞれが異なるつよみを持っています。監査法人出身者、事業会社の経験者、税務の専門家など、多彩なキャリアを持つメンバーが集まっているため、疑問点があったときには「この人に聞けばわかる」という専門性の重なりがあります。
何より、知識を出し惜しみせず共有してくれる文化が根付いている点が大きな魅力だと思います。もちろん、まずは自分で調べたうえで相談するのが前提ですが、質問すれば丁寧に答えてくれる方ばかりです。
決算前にはナレッジ担当者が制度改正の論点を整理した資料を作成し、社内で研修が行われます。開示の基準は毎年のようにアップデートされますが、それを個々人が独自に追うのではなく、会社として体系的に情報を共有しているため、非常に学びやすい環境になっていると感じます。
——今後挑戦したいことやどのようなキャリアアップを目指していますか?
キャリアアップとして特定のポジションを目指しているわけではありません。むしろ、プレイヤーとして長く手を動かす働き方を続けていきたいという思いが強くあります。
事業会社では年齢を重ねると管理職に就くことが求められることが多く、プレイヤーとして働くことが難しくなる場面がありました。しかしディスクロージャー・プロでは、プレイヤーとして専門性を磨き続けるキャリアが許容されており、それがこの会社を選んだ大きな理由のひとつでもあります。
開示書類全体を扱う経験は非常に幅広く、関わる領域ごとに求められる知識も異なります。だからこそ、今後も多くの事例を経験し、領域を広げながら自分の専門性を高めていきたいと考えています。
——監督者として働くうえで、どんな人が向いていると思いますか?
まず、クライアントとのコミュニケーションが苦にならない方が向いていると思います。キックオフミーティングをはじめ、お客様と話す機会が思っている以上に多くあります。作業だけをしたいという方よりも、人と話しながら業務を進めることが苦手でない方が活躍しやすいです。
また、開示書類の作成は細かい作業が非常に多いため、コツコツと積み上げていける方は向いています。
さらに、コミュニケーションの中で相手の意図を汲み取り、監査法人との折衝方法まで含めて提案することが求められるため、相手に寄り添い、丁寧に確認を積み重ねられる方が力を発揮できる仕事だと思います。
——求職者に向けて、最後にメッセージをお願いします。
監査法人や事業会社の経理と比べて、ワークライフバランスがとりやすいと感じています。繁忙期はもちろん残業がありますが、それ以外の時期はほとんどの社員が定時で帰っています。時間のメリハリがあり、家庭との両立もしやすい職場だと思います。
また、専門性を磨きながらプレイヤーとして働き続けられる環境でもあります。手を動かしながらキャリアを築きたい方にとって、ディスクロージャー・プロは非常に良い選択肢だと思います。
働きやすさと専門性の両方を追求したい方は、ぜひ一度この仕事に触れてみてください。

1日の流れの例
1日の決まったルーティンがあるというより、その日に優先すべきタスクに合わせて動くスタイルです。クライアントの状況や資料の提出状況、監査法人との調整内容によって、業務内容は日々変わります。
メール対応から始まり、いただいた資料の確認、ドラフトへの反映、確認事項の整理、クライアントへの連絡など、その時々で必要な作業に取り組みます。
クライアント対応は基本的に監督者が担当者となり、もう1名の監督者(会計士)が同行者として加わる場合もあります。わからないことがあれば相談しながら進めますが、実際の作業や書類作成は基本的に1人で担当する形です。
一応チーム制度もあり、2週間に1度の朝礼で情報共有をしています。ただし、案件自体はチーム単位で動くことはほとんどなく、各メンバーがそれぞれのクライアントを担当して進めていくスタイルです。
